酵素融合リコンビナント抗体、はじめました
2025.10.20
このたび、当社では酵素融合リコンビナント抗体を作製し、販売を開始しました。抗体と検出用酵素を遺伝子レベルで融合させ、CHO-Spica®️細胞で生産することにより、従来の化学的標識抗体に比べて極めて高い均一性を実現しています。
このコラムで紹介した酵素融合リコンビナント抗体(HRP融合抗タグ抗体)はこちらで販売しています。
https://antibody.cell-g3conception.com
酵素融合リコンビナント抗体とは
抗体に酵素を標識する場合に用いられる一般的な化学標識法では、反応部位を制御することは難しく、無数の標識位置や標識数、さらには抗体同士の架橋など不均質な集団が生成物になっていました。このため、製造ロット間で品質(比活性や抗体の抗原認識能)が変わるリスクがありました。
これに対して酵素融合リコンビナント抗体は、抗体と検出用酵素を遺伝子レベルで融合して発現させた抗体で、従来の化学標識抗体に比べて極めて高い均一性を有します。また、酵素は抗体の抗原認識部位に影響を与えない位置に融合されており、生成物中に含まれる全ての抗体で、本来の抗原認識能が保持されています。さらに、CHO-Spica®細胞で生産することで、スケールを問わずに常に一定の品質で供給ができることも大きな特長の一つです。

主要技術と特長
高い均一性
抗体と検出用酵素を遺伝子レベルで融合しCHO-Spica®️細胞で生産することで、高い均一性をもった酵素融合抗体の安定供給を実現しました。
ロット間一貫性と安定供給
CHO-Spica®️細胞の安定発現株と無血清培地を用いた生産により、常に一貫して安定した品質の製品を製造しています。
研究用から商用製造まで対応
独自の抗体生産プラットフォームにより、研究用から商用製造まで幅広く対応可能です。
二次抗体不要
検出用酵素融合抗体は二次抗体を必要とせず、作業時間と試薬コストを削減できます。
酵素融合リコンビナント抗体の作製例
作製例1:HRP融合抗タグ抗体
抗タグ抗体にHorseradish peroxidaseを遺伝子レベルで融合しました。HRP融合抗体の高い均一性がSDS-PAGEにおいて単一バンドであることで確認できます 。また、ウェスタンブロットでタグ付きタンパク質が検出できることを確認しました。

作製例2:ALP融合抗タグ抗体
抗タグ抗体にAlkaline phosphataseを遺伝子レベルで融合しました。こちらでもALP融合抗体の高い均一性がSDS-PAGEにおいて単一バンドであることで確認できます 。また、ウェスタンブロットでタグ付きタンパク質が検出できることを確認しました。

まとめ
酵素融合リコンビナント抗体は、抗体と酵素を遺伝子レベルで融合することで実現した、次世代の均一ラベル抗体です。さらに、CHO-Spica®️細胞による安定的な生産基盤を持つため、研究用途から商用製造まで幅広いニーズに対応可能です。こうした特長により、研究を加速し、製品開発を支える新しい検出用抗体として活用できます。
当社ではCHO-Spica®️細胞によるリコンビナントタンパク質の作製・生産受託サービスも提供しています。本サービスで生産したタンパク質は商用利用目的でご使用いただけます。詳しくは下記リンクをご覧ください。
https://www.g3-conception.com/cell/
また、本コラムで紹介したHRP融合抗体は下記ページからご購入いただけます。